2025年6月終了の四半期
北アメリカ
• 北米におけるEVOH価格指数は四半期比0.5%上昇し、USD 8,450/MT FOBテキサスで終了した。ただし、第二四半期の全体的な価格下落は、世界的な過剰供給と米国産EVOHの国際競争力の低迷により促進され、特にアジア市場において、下流需要の停滞と国内スポット活動の鈍化の中で起こった。
• 2025年7月の米国におけるEVOH価格の変動理由は何か?
2025年7月初旬、在庫過剰、輸出需要の制限、長期契約への買い手の抵抗により、夏季の遅れに先立ち、EVOH価格は抑制された状態が続いた。天候による供給の課題にもかかわらず、トレーダーは防御的な姿勢を取り、価格を抑えた。
• EVOHの生産コスト動向は、上流のEVA(エチレンビニルアセテート)価格が5月以降上昇したことにより、四半期中に穏やかに上昇した。ただし、洪水や山火事などの極端な気象イベントにより、物流の混乱、供給者の遅延、保険料の増加が生じ、供給逼迫によるコストインフレを相殺した。
• EVOHの需要見通しは、下流の包装および自動車セクターの低迷により弱気のままだった。包装業界は高いソフトドリンク在庫と手取りの調達戦略に制約され、自動車セクターは6月の新車販売が前年比5.6%減少し、輸入ブランドが最も打撃を受けた。
• 米国からのEVOH輸出の勢いは鈍いままだった。5月には韓国向けEVOH出荷が3.4%増加したものの、全体的な国際需要は弱く、買い手は中東や中国の供給者への嗜好を変えた。関税に関する不確実性と世界市場の過剰供給が、米国産EVOHを競争圧力にさらしている。
• 国内調達は制限され、メーカーは在庫蓄積を避けるために生産を削減した。反ダンピング懸念の継続、ポートヒューストンのコンテナ不足、気象による混乱が取引環境を抑制した。6月にビジネスと消費者の信頼感は改善したものの、市場活動は回復せず、需要回復の兆しは見られなかった。
アジア
• APACにおけるEVOH価格指数は四半期比0.4%上昇し、USD 8,350/MT FOB Osakaで終了しました。ただし、第2四半期の全体的な価格下落傾向は、アジア全体の包装および自動車セクターからの需要の継続的な弱さによって引き起こされました。貿易緊張の緩和と上流コストの安定にもかかわらずです。
• 2025年7月の日本におけるEVOH価格の変動はなぜ起こったのか?
2025年7月初旬、EVOH価格は、Eid al-Adhaおよびドラゴンボートフェスティバルの祝日後の季節的な調達の減速、過剰供給市場、および控えめな包装需要により圧力の下にありました。
• EVOHの生産コスト動向は、上流のビニルアセテートモノマー(VAM)価格の軟化により緩やかに低下しました。VAMユニットのメンテナンスにもかかわらず、高い稼働率(約80%)により十分な原料供給が確保され、全体的な変換コストが低下しました。
• EVOHの需要見通しは依然として弱く、包装セクターは完成品在庫過剰に直面し、買い手は手元資金戦略で運営されていました。輸出需要は、国際的なセンチメントの軟化とアジア、ヨーロッパ、米国からの問い合わせの鈍化により抑えられました。
• Japan Trade Statisticsによると、EVOHの日本からの輸出は四半期中に弱まり、6月の輸出は5月と比べて13.7%減少しました。Eid休暇や主要輸入国での慎重な購買行動により、注文量が縮小し、貿易の流れが遅くなりました。
• 日本国内の調達は、在庫レベルの上昇とスポット取引の大きな動きの欠如により、取引量が減少しました。国内の自動車セクターは6月に販売が改善しましたが、これがEVOHの注文増加に結びつかず、下流の回復とポリマー需要の間に乖離があることを示しています。
ヨーロッパ
• ヨーロッパにおけるEVOH価格指数は四半期比0.8%上昇し、USD 8,510/MT FOB アントワープで終了した。ただし、第2四半期の全体的な価格下落は、持続的な需要の弱さ、季節的な減速、および大陸全体での原料関連供給逼迫の緩和の兆候を反映している。
• 2025年7月のヨーロッパにおけるEVOH価格の変動理由は何か?
2025年7月初旬、EVOH価格は、市場活動の夏季閑散期、持続する過剰供給、およびパッケージングおよび自動車セクターからの需要の弱さにより、下落圧力の下にあった。完成品在庫が高水準のため、供給緩和にもかかわらず調達は限定的だった。
• EVOHの生産コスト動向は、6月に上流のEVA価格が下落したことにより緩和した。TotalEnergiesのGonfrevilleおよびVersalisのDunkirk工場でのEVA生産再開により、原料の供給状況が改善された。ただし、アントワープとロッテルダムの港湾混雑が継続し、輸送時間を延長し、配送に支障をきたした。
• EVOHの需要見通しは依然として脆弱な状態だった。パッケージングセクターは、ソフトドリンク在庫の多さから購買行動が鈍化し、自動車需要は車両販売の減少と経済感情の弱さにより押し下げられた。消費者および企業の信頼感は6月にさらに低下し、市場の警戒感が続いていることを示した。
• ベルギーからのEVOH輸出の勢いはやや回復し、5月の出荷量は8%増加した。ただし、この増加は、世界的な過剰供給とアジアからの競争力のある提案により、買い手が防御的な姿勢を維持しているため、広範な市場感情を変えるには至らなかった。
• ヨーロッパ全体の国内調達は、高い在庫水準と季節的な購買停止により抑制された。生産制約の緩和にもかかわらず、高い運賃、アンチダンピング調査、新たなパッケージングや自動車の注文不足により、スポット市場の活動は低迷し、売り手は契約取引に集中している。"
2025年第1四半期の北米におけるエチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)市場は、価格の上昇が特徴的である。下流の包装需要が減少しているにもかかわらず、2025年1月には米国におけるEVOH価格が複数の工場停止および生産障害の影響により上昇した。テキサス州ラポートに所在する三菱ケミカルアメリカは、寒冷気象条件の影響を受けてフォース・マジュールを発動し、供給動態に影響を及ぼした。さらに、原料であるEVAの大幅な価格上昇が、この期間中の製造コストを押し上げた。下流の包装分野からのEVOH需要は、オフシーズンや輸出減少、供給業者の遅延、関税問題による貿易障害などにより低調であったが、これによりメーカーは2025年2月にEVOH価格を安定させる動きに出た。さらに、2025年3月初旬にテキサス州で発生したハリケーン級の強風により、セラニーズ・コーポレーション(ユニット1および2)やミレニアム・ペトロケミカルズを含む複数の主要VAM生産施設でフォース・マジュールが発動され、2025年3月のEVOH価格上昇に拍車をかけた。ChemAnalystのデータによれば、米国におけるEVOH価格は11.4%上昇している。
2025年第1四半期、APAC地域におけるエチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)市場は、物資の流通が逼迫したことにより、価格が大幅に高騰しました。2025年1月、日本からインドネシアへのEVOH供給は生産の混乱により依然として逼迫していました。さらに、原料であるEVAの価格が大幅に上昇したことで、製造コストも増加しました。同時に、宮崎県東岸で発生した地震による小規模な津波の影響で、サプライヤーの納期が延長し、アジア域内の物流にも影響が及びました。下流の包装分野からの需要は低調であったものの、日本からの輸出量が生産低迷により減速したことで、2025年2月のインドネシアにおけるEVOH価格は安定しました。さらに、2025年3月には運賃が下落したにもかかわらず、インドネシアのEVOH価格は再び反発しました。日本の主要EVOHメーカーであるクラレが価格引き上げを発表したことも、輸入国のEVOH価格動向に影響を与え、EVOH(CFR Tanjung)価格はUSD 8,640/MTで推移しました。
2025年第1四半期、ヨーロッパにおけるエチルビニルアルコール共重合体(EVOH)市場は顕著な上昇を示しました。下流の包装分野からの需要が低調であったにもかかわらず、2025年1月には価格動向が著しい上昇傾向を示しました。この上昇傾向は需要によるものではなく、原料であるEVA(エチレン酢酸ビニル)の価格上昇が主な要因でした。2025年2月、ベルギーにおけるEVOH価格は安定していたものの、原料EVAの供給減少により市場全体の供給は逼迫していました。TotalEnergies社は、2月11日にゴンフルヴィル工場での予期せぬ設備故障を理由に、EVA供給に関してフォース・マジュールを宣言しました。この停止によりEVAグレードの供給が大幅に制限され、同社はヨーロッパ域内での契約履行が困難となりました。さらに、主要生産者であるCelanese社は、2025年3月に西半球において酢酸ビニルモノマー(VAM)およびその誘導体の価格引き上げを発表し、これによりEVOHの生産コストが上昇し、同時期に需要も改善しました。ChemAnalystのデータによると、ベルギーにおけるEVOH価格は11.9%上昇しています。